おしごと.8-miz

「…まだ、落ち込んでるの？」
「暴走…　確かにしてました、でも…　やはり同胞を傷つけるというのは…」
「感情はいくら言葉を繕っても変えられないし変えても意味はない　その悲しみは、乗り越えるしかないものだよ」
「…はい」
「私も始めて…　天使を葬ったときは…　いまのルミと同じか、もっと酷かった」
「…」
「でもルミ、駄目なことばかりじゃない　あの子を葬ったことで、これから死んでしまうかもしれなかった数多くの命を救った」
「…」
「それは慰めでもなんでもない、事実だよ」
「…はい」
「…　泣きたいなら、我慢しなくていい」
「…！」
「天使がないてはいけないなんていう法則は、どこにもないんだから」
「…ッッ！！」

彼女は、はち切れんばかりの声をあげて泣いた。

おわり

おしごと.7-miz

《広域検索:召還　範囲:最大　サーチ対象:天使》
「太陽系なんて…やっぱり謙遜だ」
《検索半径:1000k…　10000k…　100000k…》
「パワー、抑えてる…　本気なら銀河は覆い尽くせる…」
「見つけた　意外と近くにいたね」
「ほ、本当ですか　どこです？」
「火星の…ここから見ると裏だね　…なんだけど」
「…けど？」
「多分この子…　暴走してる」
「…ッ！？」
「行くよ」
「…はい」

おしごと.6-miz

「どう？　ルミ」
「分析結果出力しますです　ちょっと力の対流が複雑で…」
「でます」
「…何、これ…」
「…この力、自然発生的なものでは…　いやむしろ」
「別の天使による介入…　間違いない　なんでこんなこと…」
「おかしいです　任務を与えられた天使以外に何故介入の余地を与えているのか　天界の指示なのでしょうか」
「天界の指示なのか個人の判断なのか　…それともわざと邪魔をしているのか」
「邪魔を？」
「たまにあるよ　メルリツセレヌは天界では有名すぎる　故に妬みの対象にもなりうる」
「そうでしたね…　しかし　誰が」
「術式をわざと複雑にして特定されないようにしてるね　邪魔と見てよさそうかな…　しかも結構高位の天使だ」
「私広域検索は不得意です…」
「だね　私がやるよ　太陽系くらいは覆える」
「それでも発見できなければ力添えします」
「うん　お願い」

おしごと.5-miz

「なんですか　この感じは」
「分からない　でも…　生物では…　ない？」
「そもそも物質…　いや、フィール姉様　これは」
「不味い　そういうことか」
「あの人間、実存力が異常です…！　各リーダーを軽々超えてしまっている」
「でも、何故だろう　唐突にこんなに力を持つ事なんて天文学的確率なのに」
「…でも、事実です」
「…仕方ない　あの人の力、奪うしかないね」

おしごと.4-miz

「順調みたいだね」
「流石です　それぞれのリーダーがそれぞれの役割を確実に果たしつつ、大衆を導いてますです」
「ここまではね　…力の配分が少し難しいな」
「やはりですか…　これだけ大きい災害が起こってしまうと　やはり争いは避けられないものとなってしまうのが常です」
「指導者を複数にしたのは勿論独裁をさける為　だけどそれは逆にそれらの指導者をぶつけてしまう可能性もある」
「フィール姉様の力の配分が的確なおかげで争いは些細です　これで…イレギュラーさえなければ」

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「なんだろう　この違和感」
「復興は順調　これは間違いない」
「だけど…」
「何かしら起こるとは思いますが…　これは？」
「何か…迷い込んだ」